カーボンクレジットの価格形成メカニズムは、今後さらに「品質」によって支配されるようになります。
1. 「品質のフライト」と価格の二極化
最大の動向は、ICVCM(民間カーボン市場健全性イニシアチブ)による「CCP(中核炭素原則)ラベル」の選別です。2024年から2025年にかけて、既存のクレジットがCCP基準を満たすかの評価が進んでいます。
今後は、市場が「CCPラベル付き高品質クレジット」と「CCPラベルなし低品質クレジット」に明確に二極化します。前者の価格は上昇・安定し、後者は(たとえ安価でも)買い手がつかず、市場から事実上淘汰されると予想されます。企業は、調達D.D.において「CCPラベルの有無」を最重要視する必要があります。
2. 「除去」クレジットの構造的な供給不足と価格上昇
SBTネットゼロ宣言企業は世界で数千社(日本でも数百社)に達し、そのすべてが将来「除去」クレジットを必要とします。しかし、供給源である植林(NBS)は土地に限界があり、DACCS(技術)はコストが高すぎます。
この構造的な「需要>供給」ギャップは、今後2030年にかけて「除去」クレジットの価格を長期的に押し上げ続ける最大の要因になると、世界銀行やIEA(国際エネルギー機関)などの権威ある機関が一致して指摘しています。
3. 国内政策(GX-ETS)が価格に与える影響
日本では、2026年度からのGX-ETS本格稼働、2028年度からの化石燃料賦課金導入が、J-クレジット価格の強力な「下支え」要因となります。
企業が「賦課金を払う(あるいは排出枠を買う)」コストと、「J-クレジットを買ってオフセットする」コストを比較検討するようになるため、J-クレジット(特に安価な削減系)の価格は、将来のGX-ETSの排出枠価格や賦課金単価に連動して、上昇していくと見込まれます。