グリーンウォッシュをめぐる攻防は、今後さらに厳格化・高度化していきます。
1. 「オフセット」から「貢献(Contribution)」への移行
SBTiが提唱する「BVCM(Beyond Value Chain Mitigation、バリューチェーン外での緩和)」という概念が、今後の主流となります。
これは、従来の「オフセット(自社の排出を相殺する)」という考え方から脱却し、企業は「①自社の削減(SBT)」と「②バリューチェーン外への気候貢献(クレジット購入)」を別々のものとして両方行うべき、という考え方です。
企業のクレジット活用は、「自社の罪(排出)を消すため」ではなく、「地球全体の脱炭素を加速させるための『貢献(ファイナンス)』」へと、その役割が再定義されています。
2. 「主張(Claims)」の法的リスク化
EUのグリーンクレーム指令(GCD)が示すように、グリーンウォッシュは「PRの問題」から「法務・訴訟の問題」へと移行しました。今後は、消費者団体やNPOによる集団訴訟、規制当局からの罰金といった、具体的な金銭的損失(財務リスク)に直結します。
3. J-クレジットの国際整合性
日本企業にとっての課題は、J-クレジット制度やGX-ETSのルールが、ICVCM(品質)やVCMI(主張)といったグローバル基準と、いかに迅速に整合性を取っていくかです。グローバルに事業展開する企業は、国内ルール(例:GX-ETS対応)と国際ルール(例:SBTi/VCMI対応)の両方を満たす、より高度なクレジット調達戦略が求められます。