カーボンクレジットの「種類」をめぐる市場動向は、今まさに大きな変革期を迎えています。
1. 「除去」クレジットへの世界的な需要集中
SBTネットゼロスタンダードの普及により、Apple、Microsoft、Amazonといったグローバル企業が、こぞって高品質な「除去」クレジットの確保に動いています。特に、植林(NBS)の供給量には限界があるため、高コストな「DACCS(技術的除去)」への先行投資(将来のクレジットを事前購入する契約)が爆発的に増加しています。これは、「除去」クレジットが将来の企業価値を左右する戦略的資産と見なされている証拠です。
2. 「品質」の市場淘汰:ICVCMとCCPラベル
同時に、「削減」クレジット市場では、その「品質」が厳しく問われています。過去に発行された安価なクレジットの中には、追加性(そのプロジェクトがなければ削減が起きなかったか)に疑義のあるものが多く含まれていました。
この問題を解決するため、ICVCM(民間カーボン市場健全性イニシアチブ)は、厳格な品質基準である「CCP(中核炭素原則)」を策定。2024年以降、既存のクレジットがこの基準を満たすか審査し、「CCPラベル」を付与する作業を進めています。
今後は、「CCPラベル付き」の高品質クレジットと、それ以外の低品質クレジットとの間で価値(価格)の二極化が急速に進み、低品質クレジットは市場から淘汰されると予想されます。
日本国内でも、J-クレジット制度がこの国際動向に合わせ、CO2吸収コンクリートやバイオ炭など、技術ベースの「除去」方法論の導入を進めており、クレジットの多様化と高品質化が進んでいます。