パリ協定6条の具体的な実施ルールは、各国の利害が対立し、長年合意に至りませんでした。しかし、2021年に英国で開催されたCOP26(第26回国連気候変動枠組条約締約国会議)において、この6条の「ルールブック」が(二重計上防止のルールも含め)ついに合意されました。
このCOP26での合意は、京都議定書時代から続いた市場の不透明感を払拭し、新たなグローバルカーボン市場が本格的に始動する号砲となりました。
CDMから6条4項メカニズムへのプロジェクト移行ルールも整備され、日本のJCMのパートナー国も拡大を続けています。
現在は、COP26で合意された大枠のルールに基づき、6条4項メカニズムの登録簿システムや方法論の整備など、実務的な運用体制の構築が急ピッチで進められています。
企業戦略の観点からは、京都議定書時代(CDM)の「カーボンクレジットを安く調達すればよい」という単純な発想はもはや通用しません。パリ協定体制下では、そのクレジットが「どのルール(6条2項か6条4項かVCMか)に基づき」「相当調整(CA)の対象か否か」「自社のどのようなクレーム(例:NDCへの貢献か、自主的なオフセットか)に使用できるか」を、極めて厳密に管理・開示することが求められる時代に入ったのです。